Capital Insight 編集部
新NISAつみたて投資枠とは?まず押さえたい基本
新NISAのつみたて投資枠は、年間120万円まで投資信託を非課税で積み立てられる制度です。対象商品は金融庁が「長期・積立・分散投資」に適すると認めた約350本の投資信託・ETFに限定されており、初心者でも選びやすい設計になっています。
非課税保有限度額は成長投資枠と合わせて1,800万円(うちつみたて投資枠の上限は1,800万円)。売却すれば翌年に枠が復活するため、ライフステージに合わせた柔軟な運用が可能です。
つみたて投資枠の銘柄選び|3つの判断基準
約350本の対象銘柄から選ぶとき、以下の3つを軸にすると比較しやすくなります。
1. 信託報酬(運用コスト)の低さ
信託報酬は運用中ずっとかかるコストです。年率0.1%の差でも、20年・30年の長期運用では数十万円の差になります。つみたて投資枠の対象商品は比較的低コストですが、その中でもさらに安い銘柄を選ぶことが合理的です。
目安として、インデックスファンドなら年率0.1%以下を基準にするとよいでしょう。
2. 投資対象の分散度
投資対象が広いほど、特定の国や業種の不調による影響を抑えられます。選択肢は大きく分けて3パターンあります。
- 全世界株式型:先進国+新興国の約3,000銘柄に分散。1本で世界経済全体の成長を取り込める
- 米国株式型:S&P500やCRSP US Total Marketなど。米国は世界の株式時価総額の約6割を占め、過去数十年の実績が突出
- 先進国株式型:日本を除く先進国約20カ国に投資。新興国リスクを避けつつ広く分散
3. 純資産総額と資金流入の安定性
純資産総額が大きいファンドは、運用の安定性が高く、繰上償還(ファンド解散)のリスクが低くなります。目安として純資産100億円以上、かつ資金が継続的に流入しているファンドが安心です。
【2026年版】注目されやすい銘柄5選
上記3つの基準をもとに、2026年4月時点でつみたて投資枠で人気・評価の高い銘柄を紹介します。なお以下はあくまで情報提供であり、最終的な銘柄選定はご自身の投資方針とリスク許容度に応じてご判断ください。
1. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
通称「オルカン」。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動し、日本を含む先進国23カ国・新興国24カ国の約2,800銘柄に投資します。
- 信託報酬:年率0.05775%以内
- 特徴:この1本で全世界に分散投資できる構成。つみたて投資枠の買付ランキングで常に上位に位置しています
- 向いている方:特定の国に偏りたくない方、銘柄選びにあまり時間をかけたくない方
2. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の代表的な大型株500社で構成されるS&P500指数に連動します。Apple、Microsoft、Amazon、NVIDIAなど世界をリードする企業群への投資です。
- 信託報酬:年率0.09372%以内
- 特徴:過去30年間の年平均リターンが約10%(ドル建て)という実績がありますが、過去の実績が将来の運用成果を保証するものではありません。米国経済の成長力に集中投資
- 向いている方:米国の成長力に期待する方、リスクを取ってより高いリターンを目指したい方
3. 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
楽天証券が提供する全世界株式型ファンドで、eMAXIS Slimオルカンと同種のコンセプトで運用されています。
- 信託報酬:年率0.0561%
- 特徴:eMAXIS Slimオルカンと同じ指数に連動しつつ、信託報酬がわずかに低い水準です。楽天証券ユーザーにはポイント還元の面でもメリットがあります
- 向いている方:楽天証券で積立する方、コストを抑えたい方
4. SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
SBIアセットマネジメントが運用するS&P500連動ファンド。バンガード社のETF(VOO)を通じて投資します。
- 信託報酬:年率0.0938%程度
- 特徴:世界最大級の運用会社バンガードの実績を日本の投資信託で活用できます。SBI証券との相性が良いとされます
- 向いている方:SBI証券ユーザー、バンガードのインデックス運用を信頼する方
5. ニッセイ外国株式インデックスファンド
MSCIコクサイ・インデックスに連動する先進国株式型ファンドで、日本を除く先進国22カ国の約1,300銘柄に投資します。
- 信託報酬:年率0.09889%以内
- 特徴:2013年設定の老舗低コストファンド。新興国を含まないぶん値動きがやや穏やかな傾向があります
- 向いている方:新興国のリスクを避けたい方、先進国の安定感を重視する方
「オルカン」と「S&P500」どちらを選ぶ?
つみたて投資枠で多く聞かれる悩みが「オルカンとS&P500、どちらがよいか」です。結論として、最終的な選択はリスク許容度や投資方針によって異なりますと考えられます。
| 比較項目 | オルカン | S&P500 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 全世界約2,800銘柄 | 米国大型株500銘柄 |
| 米国比率 | 約60% | 100% |
| 分散度 | 高い | 米国に集中 |
| 過去リターン | やや控えめ | やや高い |
| 為替リスク | 複数通貨に分散 | 米ドルに集中 |
海外の投資コミュニティでも「1本で世界に分散するファンド vs. 米国集中型ファンド」の議論は定番です。英語圏では「Vanguard Total World Stock(VT)」と「Vanguard S&P 500(VOO)」の比較としてよく語られます。どの国の投資家でも悩むポイントは共通しており、「将来どの国が伸びるかを予測できない以上、全世界分散が合理的」という意見と、「過去の実績を重視するなら米国集中」という意見があります。
シンプルな分散投資を重視する方にはオルカン1本で世界全体をカバーできる構成が合います。オルカンの中身の約60%は米国株のため、米国の成長も取り込む設計です。「米国の比率をもっと上げたい」と考える場合は、S&P500を組み合わせて調整する方法もあります。最終的な配分比率はリスク許容度に応じてご判断ください。
初心者がやりがちな3つの失敗
失敗1:銘柄を分散しすぎる
「分散が大事」と聞いて5本も10本も買ってしまうケースがあります。しかし、オルカンやS&P500はすでに数百〜数千銘柄に分散されています。投資信託の数を増やしても分散効果はほとんど変わらず、管理が煩雑になるだけです。基本は1〜2本に絞ると管理がシンプルになる一方、分散効果は指数の構成銘柄に依存しますと考えられます。
失敗2:短期の値動きで売買してしまう
つみたて投資の本質は「時間分散」です。相場が下がったときこそ安く多く買えるチャンスとなります。過去のデータでも、20年以上の積立投資では元本割れした期間が少ないことが示されていますが、過去の実績が将来の運用成果を保証するものではありません。一時的な下落で慌てて売ると、長期のリターンを取り逃すことにつながる可能性があります。
失敗3:ランキング上位だけで選ぶ
「売れ筋ランキング1位」は参考にはなりますが、ランキングには一時的なテーマ型ファンドやキャンペーンの影響が混ざることもあります。信託報酬・投資対象・純資産総額という基本をまず確認し、そのうえでランキングの人気度を参考にするのが正しい順番です。
積立金額の目安と始め方
つみたて投資枠の年間上限は120万円(月10万円)ですが、最初からこの金額で始める必要はありません。
- まず月1万円から:SBI証券・楽天証券なら月100円から積立可能。まずは少額で値動きに慣れましょう
- 慣れたら月3〜5万円:生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)を確保したうえで、無理のない範囲で増額
- 余裕があれば月10万円:年間120万円をフル活用。15年で非課税枠1,800万円を使い切る計算
証券口座の開設はSBI証券・楽天証券がつみたて投資枠の対象銘柄数・手数料・ポイント還元の面で比較されることが多いサービスです。口座開設はオンラインで完結し、最短翌営業日から積立設定が可能です。
まとめ
新NISAのつみたて投資枠は、初心者にとって始めやすい資産形成の入口の一つです。銘柄選びで大切なのは「信託報酬の低さ」「分散度」「純資産総額の大きさ」の3点です。eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)は、世界中の株式に分散投資する指数連動型の商品として紹介されることが多いです。
重要なのは「どの銘柄を選ぶか」以上に「早く始めて長く続けること」です。銘柄選びに悩み続けるよりも、まず月1万円程度から積立を始めて運用に慣れる方法もあります。
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免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。過去のリターンや利回りは将来の運用成果を保証するものではなく、金融商品の価値は市場環境により変動します。当メディアは金融商品取引業者ではなく、個別の投資助言は提供しておりません。税制・法令・各金融商品の仕様は変更される可能性があるため、最新情報は金融機関・金融庁等の公式サイトをご確認ください。
主な出典(最終確認: 2026年4月):金融庁 NISA特設ページ、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、国税庁 No.1535 特定口座制度(制度・税制に関する具体的数値はこれら公式発表に基づきます)