Capital Insight 編集部
iDeCoと企業型DCは併用できる
「企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているが、iDeCoにも加入できるのか」という疑問が生じることがあります。
結論として、2022年10月の法改正以降、一定の条件を満たせば企業型DCとiDeCoの併用が可能となっています。さらに2026年には段階的な制度改正が予定されており、併用の枠組みが拡大される方向です。制度の詳細はiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)および厚生労働省 iDeCoページをご確認ください。
併用するための3つの条件
企業型DCに加入している会社員がiDeCoにも加入するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 企業型DCの事業主掛金が月額55,000円未満であること(2026年12月以降は62,000円未満に変更予定)
- マッチング拠出を利用していないこと(マッチング拠出とiDeCoは選択制であり、両方の同時利用は不可)
- 事業主掛金+iDeCo掛金の合計が上限以内であること
マッチング拠出とiDeCoの比較
マッチング拠出とiDeCoは「どちらか一方」を選択する設計です。各制度の特徴は以下の通りです。
| マッチング拠出 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 運用商品 | 会社が選定した商品から選択 | 自分で金融機関・商品を選択 |
| 手数料 | 会社負担(自己負担なし) | 口座管理手数料が月171〜600円程度 |
| 掛金の上限 | 事業主掛金と同額まで(2026年4月に撤廃予定) | 合算上限内で設定可能 |
| 手続き | 会社経由 | 自分で金融機関に申込 |
運用商品の幅を重視する場合はiDeCoが選択肢となり、手続きの簡便性と口座管理手数料の有無を重視する場合はマッチング拠出が選択肢となります。最終的な判断はご自身の状況に応じてご判断ください。
【2026年改正】変更予定の内容
2026年は企業型DC・iDeCoに関して2段階の改正が予定されています。
第1弾:2026年4月 — マッチング拠出の上限制限撤廃
| 旧ルール(〜2026年3月) | 新ルール(2026年4月〜) | |
|---|---|---|
| マッチング拠出の上限 | 加入者掛金 ≦ 事業主掛金 | 制限なし(合算上限の範囲内) |
これにより、従前は「事業主掛金が月5,000円の場合、加入者掛金も月5,000円が上限」という制約があった仕組みから、合算上限(月55,000円)の範囲内で設定できる仕組みに変更されます。
第2弾:2026年12月 — 掛金上限の引き上げ
| 現行(〜2026年11月) | 新ルール(2026年12月〜) | |
|---|---|---|
| 企業型DC+iDeCoの合算上限 | 月55,000円 | 月62,000円 |
| 確定給付型年金(DB)ありの場合 | 月27,500円 | 月62,000円(DB掛金相当額との合算) |
具体例
例:企業型DCの事業主掛金が月10,000円の場合
| 時期 | iDeCoに拠出できる上限 |
|---|---|
| 現行(企業年金ありの場合) | 55,000円 − 10,000円 = 月45,000円 |
| 2026年12月以降 | 62,000円 − 10,000円 = 月52,000円 |
例:企業型DCの事業主掛金が月30,000円の場合
| 時期 | iDeCoに拠出できる上限 |
|---|---|
| 現行 | 55,000円 − 30,000円 = 月25,000円 |
| 2026年12月以降 | 62,000円 − 30,000円 = 月32,000円 |
併用の手続き|3ステップ
ステップ1:会社の企業年金制度を確認
まず人事・総務部門に以下を確認します。
- 企業型DCに加入しているかどうか
- 事業主掛金の月額
- マッチング拠出制度があるかどうか(ある場合、マッチングを利用中かどうか)
- 確定給付型年金(DB)にも加入しているかどうか
ステップ2:iDeCoの金融機関を選んで申込
SBI証券、楽天証券、マネックス証券等のネット証券から金融機関を選んでiDeCo口座を開設します。
- 2024年12月以降、事業主証明書の提出は不要となりました
- 掛金額は合算上限から事業主掛金を差し引いた範囲内で設定
ステップ3:掛金引き落とし方法を選択
- 個人払込(自分の銀行口座から引き落とし)
- 事業主払込(給与天引き):会社の協力が必要、年末調整の手間が省ける
口座開設には1〜2ヶ月を要するケースが多いとされます。2026年12月の上限引上げのタイミングに合わせて準備する場合は、早めの申込が求められます。
マッチング拠出とiDeCo併用の節税効果比較(試算)
企業型DCの事業主掛金が月15,000円、年収500万円(所得税・住民税合計税率20%と仮定)の会社員の試算例:
| マッチング拠出 | iDeCo併用 | |
|---|---|---|
| 拠出可能額(現行) | 月15,000円(事業主掛金と同額まで) | 月40,000円(55,000円−15,000円) |
| 年間拠出額 | 180,000円 | 480,000円 |
| 年間節税額(税率20%で試算) | 約36,000円 | 約96,000円 |
上記は前提条件に基づく試算であり、実際の節税額は個々の所得控除の状況により異なります。2026年4月以降はマッチング拠出の上限制限が撤廃される予定のため、マッチング拠出でも同額の拠出が可能となる見込みで、両制度の差異は縮小する方向です。
よくある疑問
転職時の取扱い
転職時には企業型DCの資産を移換する手続きが必要です。iDeCoは転職先の企業年金の有無に応じて掛金上限が変わりますが、口座自体はそのまま継続できる設計です。転職後6ヶ月以内に移換手続きを行わない場合、資産が「自動移換」され管理手数料が差し引かれる可能性があるため、転職時は速やかな手続きが求められます。
企業型DCの運用商品のラインナップが限られる場合
企業型DCの運用商品は会社が選定するため、運用商品の選択肢が限られる場合があります。その場合、iDeCoでは自分で金融機関・運用商品を選べる点が異なる特徴となります。それぞれの運用商品のラインナップ・信託報酬等を比較したうえで、どちらの制度を活用するかを検討する観点があります。
まとめ
- 企業型DCとiDeCoは併用可能:マッチング拠出を利用していないことが条件
- 2026年4月にマッチング拠出の上限制限が撤廃予定:事業主掛金が少ない場合でも多く拠出できる仕組みへ
- 2026年12月に合算上限が月62,000円に引き上げ予定:iDeCoに拠出できる枠が拡大
- 事業主証明書は不要(2024年12月〜):自分でiDeCo口座を開設可能
- マッチング拠出とiDeCoの特徴は異なる:運用商品の幅、手数料、手続きの面で比較してご判断ください
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免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。過去のリターンや利回りは将来の運用成果を保証するものではなく、金融商品の価値は市場環境により変動します。当メディアは金融商品取引業者ではなく、個別の投資助言は提供しておりません。税制・法令・各金融商品の仕様は変更される可能性があるため、最新情報は金融機関・金融庁等の公式サイトをご確認ください。
主な出典(最終確認: 2026年4月):iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、厚生労働省 iDeCoページ、金融庁 NISA特設ページ。