Capital Insight 編集部
PERとPBRはなぜ重要?株の「割安・割高」を判断する基本指標
株式投資で銘柄を選ぶとき、「この株は高いのか安いのか」を判断する指標がPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。三菱UFJ eスマート証券の解説でも、初心者がまず知るべき指標として紹介されています。
どちらも「株価が企業の実力に対して割安か割高か」を測る物差しですが、切り口が異なります。PERは「稼ぐ力」に対する評価、PBRは「持っている資産」に対する評価です。
PER(株価収益率)とは:利益から見た割安度
PERは「株価÷1株当たり利益(EPS)」で計算されます。「今の株価は、1年分の利益の何倍の値段がついているか」を示す指標です。
計算式と具体例
株価が1,000円、EPSが100円の場合:PER = 1,000 ÷ 100 = 10倍
これは「この企業の利益10年分の値段で株が取引されている」という意味です。
PERの目安
| PERの水準 | 一般的な解釈 |
|---|---|
| 10倍以下 | 割安と評価されやすい(ただし業績悪化の懸念がある場合も) |
| 10〜15倍 | 日本株の平均的な水準 |
| 15〜25倍 | 成長期待が織り込まれている |
| 25倍以上 | 高い成長期待。IT・テクノロジー企業に多い |
PERは業種によって平均値が大きく異なります。テクノロジー企業は成長期待が高いためPERが高くなりやすく、銀行や公益事業は低くなる傾向があります。同じ業種内で比較することが重要です。
PBR(株価純資産倍率)とは:資産から見た割安度
PBRは「株価÷1株当たり純資産(BPS)」で計算されます。「今の株価は、企業が持つ純資産の何倍の値段がついているか」を示す指標です。三菱UFJ銀行の解説でもPBR1倍の意味と目安が詳しく説明されています。
計算式と具体例
株価が1,000円、BPSが800円の場合:PBR = 1,000 ÷ 800 = 1.25倍
これは「企業の純資産800円分に対して、市場は1,000円の価値をつけている」という意味です。
PBRの目安
| PBRの水準 | 一般的な解釈 |
|---|---|
| 1倍未満 | 株価が純資産を下回っており、理論上は割安(ただし業績不安の場合も) |
| 1倍 | 株価と純資産がちょうど釣り合っている状態 |
| 1〜2倍 | 純資産以上の評価。健全な成長企業に多い |
| 2倍以上 | 高い成長期待やブランド価値が上乗せされている |
東京証券取引所は2023年以降、PBR1倍割れ企業に対して改善策の開示を要請しており、PBR1倍はより注目される基準になっています。
PERとPBRの使い分け
| 指標 | 何を見ているか | 向いている業種 |
|---|---|---|
| PER | 利益に対する評価(稼ぐ力) | IT・サービス・小売など利益重視の業種 |
| PBR | 純資産に対する評価(持っている資産) | 銀行・不動産・製造業など資産が多い業種 |
両方を組み合わせて使うのが基本です。PERが低くてもPBRが極端に高い場合は資産効率に問題がある可能性があり、逆にPBRが低くてもPERが高い場合は利益が出ていない可能性があります。
初心者がPER・PBRで犯しやすい3つの間違い
- PERが低い=お買い得と即断する:PERが低い理由が「業績悪化の見通し」である場合、安いのではなく「市場が将来の減益を織り込んでいる」だけです。なぜPERが低いのかの理由を確認しましょう
- 異なる業種のPERを比較する:IT企業のPER30倍と銀行のPER8倍を比較しても意味がありません。同じ業種内の競合企業と比較することが基本です
- PER・PBRだけで投資判断する:これらは「割安・割高」の目安に過ぎません。企業の成長性、財務健全性、業界動向など、他の要素と組み合わせて総合的に判断することが重要です
筆者が金融データ分析の現場で見てきた中では、初心者がPERを使う際に最も重要なのは「業種別の平均PERを先に調べてから個別銘柄を見る」という順序です。業種の平均値を知らないまま個別銘柄のPERだけ見ても、それが高いのか低いのか判断できません。証券会社のスクリーニングツールで業種別平均を確認する習慣をつけましょう。
免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品や個別銘柄を推奨するものではありません。投資指標は投資判断の一材料であり、これらの指標だけで投資判断を行うことは推奨されません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
主な出典(最終確認: 2026年4月): 金融庁 NISA特設ページ、 三菱UFJ eスマート証券 PER・PBR解説、 三菱UFJ銀行 PBR解説、 Britannica Money Financial Ratios