Capital Insight 編集部
新NISAで高配当株投資が注目される背景
新NISAの成長投資枠では個別株に投資できるため、高配当株の配当金を非課税で受け取るアプローチが活用されています。通常、配当金には約20.315%の税金(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)がかかりますが、NISA口座での保有であれば配当金は非課税となります。例えば年間10万円の配当を受け取る場合、課税口座と比較して約2万円の税負担が軽減される計算です。制度の詳細は金融庁 NISA特設ページをご確認ください。
「値上がり益を狙うインデックス投資」と「配当金で定期的なキャッシュフローを得る高配当株投資」は、NISAの活用方法として異なるアプローチです。本記事では、高配当株投資の仕組み、銘柄の見方、主要な高配当ETFを解説します。
高配当株投資の基本
「高配当株」の一般的な定義
一般的に配当利回りが3%以上の株式を「高配当株」と呼ぶことが多いとされます。配当利回りは「1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100」で計算されます。
| 配当利回り | 水準の見方 | 具体例 |
|---|---|---|
| 2%未満 | 低配当 | 成長重視のテック株等 |
| 2〜3% | 標準的 | 東証プライム加重平均(約2.3%) |
| 3〜5% | いわゆる「高配当」の範囲 | 金融、通信、商社、リース等の一部 |
| 5%以上 | 超高配当(要注意) | 業績悪化で株価下落中の可能性 |
配当利回り3〜5%が一般的に「高配当」と分類される範囲です。5%以上の銘柄は一見魅力的に見えますが、株価が急落して相対的に利回りが高く見えているだけのケース(減配の可能性)があるため、背景の確認が必要となります。
NISAで高配当株投資を行う場合の主な特徴
- 配当金が非課税:通常約20.315%かかる税金がゼロとなる。年間配当10万円なら年間約2万円の試算上の軽減
- 定期的なキャッシュフロー:インデックス投資は売却しないと現金化されないが、高配当株は保有によって定期的に配当金が入金される設計
- 価格変動局面での精神的負担:株価下落局面でも配当金が入り続けるため、長期保有を継続しやすいという声がある
高配当株を比較する際の5つの観点
配当利回りだけで銘柄を判断すると、減配リスク等を見落とす可能性があります。以下の観点の確認が求められます。
1. 配当利回り3〜5%
3〜5%がバランスの取れた範囲とされます。利回りが高い場合は「なぜ高いのか」(株価下落か増配か)を確認する観点が重要です。
2. 連続増配または安定配当の実績
過去10年以上にわたって減配していない、または増配を続けている企業は、配当の安定性を示す要素となります。
- 連続増配の例:三菱HCキャピタル、花王 等(各社IR情報に基づく)
3. 配当性向
配当性向=配当金総額÷純利益。50%以下であれば利益の半分以上を内部留保に回しており、減配リスクが相対的に小さいと見る向きがあります。70%以上は、業績悪化局面で減配となる可能性を慎重に見る必要があります。
4. 自己資本比率
財務の安定性を示す指標の一つです。自己資本比率が30%以上は、不況時の配当維持の体力の観点で一般的な目安とされます。
5. 営業キャッシュフロー
本業でキャッシュを生み出しているかを確認する指標です。赤字企業が無理に配当を維持しているケースを見分ける観点で、営業キャッシュフローのプラス・マイナスが判断材料となります。
高配当株投資の代表的なアプローチ
アプローチ1:個別株を自分で選ぶ
銘柄分析に関心がある方に向く方法です。
2026年時点で配当利回りが注目されやすいセクターの例
- 金融:三菱UFJ、三井住友FG、東京海上HD
- 通信:KDDI、ソフトバンク、NTT
- 商社:三菱商事、三井物産、伊藤忠商事
- たばこ・食品:JT(日本たばこ産業)
- リース:三菱HCキャピタル、オリックス
海外のNISA関連コミュニティでも、日本の高配当株の保有例としてJT、三菱UFJ、武田薬品等が紹介されていますが、個別銘柄の業績・配当水準・株価は常時変動するため、判断時点での最新情報を各社IR・取引所情報で確認する必要があります。海外の制度・税制は日本と異なるため、国内での判断は国内機関の情報を参照してください。
アプローチ2:高配当ETFで分散投資
個別銘柄を選ばず、ETF(上場投資信託)で分散する方法です。1本で数十銘柄に分散投資する設計です。
| ETF名 | コード | 対象 | 信託報酬 | 分配金利回り目安 |
|---|---|---|---|---|
| NEXT FUNDS 日経高配当株50 | 1489 | 日経平均の高配当50銘柄 | 0.308% | 約2.9% |
| iShares MSCI Japan高配当 | 1478 | MSCI Japan高配当指数 | 0.209% | 約2.5% |
| MAXIS高配当日本株アクティブ | 2085 | アクティブ運用の高配当 | 0.4125% | 約3.0% |
※信託報酬・利回りは2026年4月時点の各運用会社の公開情報に基づきます。分配金利回りは変動するため最新情報をご確認ください。ETFは1銘柄で複数社に分散する設計のため、個別株の業績に左右されるリスクを相対的に抑える構造となります。
アプローチ3:インデックス投資と高配当株の組み合わせ
バランスのとれた活用パターンの一つとして、つみたて投資枠でオルカンやS&P500のインデックスファンドを積立しつつ、成長投資枠で高配当株やETFを保有する構成があります。
- つみたて投資枠(月10万円):インデックスファンドで長期の値上がり益を狙う
- 成長投資枠(年240万円の一部):高配当株やETFで定期的な配当収入を得る
最終的な配分はご自身の投資目的(資産の成長重視/定期的な収入重視)に応じてご判断ください。
高配当株投資の留意点
1. 配当金の受取方法の設定
NISAで配当金を非課税とするためには、受取方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。証券口座で受け取る設定にしないと、配当金に課税される場合があります。
- 株式数比例配分方式(証券口座で受取):非課税の対象となる
- その他の方式(登録配当金受領口座方式、配当金領収証方式):課税される可能性がある
証券会社のマイページで確認・変更できます。NISA口座開設後に設定を確認することが推奨されています。
2. 高配当=必ずしも安全とは限らない
配当利回りが高い背景に「株価の大幅下落」がある場合があります。業績悪化で減配・無配となるリスクも存在するため、前述の5つの観点を併せて確認することが求められます。
3. NISAの非課税枠の使い方
配当金を出さずに再投資するインデックスファンドは、複利効果の観点で非課税枠を効率的に活用しやすい構造です。一方、定期的なキャッシュフローが入る構造を重視する場合は高配当株投資にもメリットがあります。どちらが合うかは、投資目的・資金需要に応じて判断することになります。
まとめ
- 新NISAの成長投資枠で高配当株を保有する場合、配当金は非課税:通常約20.315%の税負担が軽減される構造
- 配当利回り3〜5%が一般的な「高配当」の範囲:5%以上は業績や減配リスクの確認が必要
- 銘柄を見る際の5つの観点:配当利回り、連続増配実績、配当性向、自己資本比率、営業キャッシュフロー
- 個別株選定が難しい場合は高配当ETFで分散する方法もある:NEXT FUNDS 日経高配当株50(1489)等が候補の一つ
- 「株式数比例配分方式」の設定:非課税を受けるために必須の設定
最終的な投資判断はご自身の投資目的・リスク許容度に基づいてご判断ください。
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免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。過去のリターンや利回りは将来の運用成果を保証するものではなく、金融商品の価値は市場環境により変動します。当メディアは金融商品取引業者ではなく、個別の投資助言は提供しておりません。税制・法令・各金融商品の仕様は変更される可能性があるため、最新情報は金融機関・金融庁等の公式サイトをご確認ください。
主な出典(最終確認: 2026年4月):金融庁 NISA特設ページ、国税庁 No.1535 特定口座制度、日本取引所グループ(上場ETF情報)、各運用会社の公式目論見書・各企業のIR情報。