Capital Insight 編集部
学資保険とは|2026年の位置づけ
学資保険は、子どもの教育資金を積立ながら、親に万が一があった場合の保障も兼ねる保険商品です。毎月定額の保険料を支払い、子どもが15歳・18歳・22歳等の節目で満期金や学資金を受け取る仕組みが一般的です。
ただし、2024年からの新NISA大幅拡充と2026年度税制改正で予定される「こどもNISA(0〜17歳のつみたて枠)」の導入により、学資保険の相対的位置づけは見直し期にあります。本記事では学資保険の仕組み・主要商品の返戻率・新NISAとの比較・使い分けを整理します。
新NISA全般は新NISA完全ガイド2026、教育費の全体像は教育費はいくらかかる?大学までのシミュレーションと5つの準備方法を参照してください。
学資保険の主要商品比較(2026年4月時点)
| 商品名 | 運営会社 | 返戻率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ニッセイ学資保険 | 日本生命 | 約103〜108% | 18歳から毎年受取る基準学資金型 |
| ソニー生命 学資金準備スクエア | ソニー生命 | 約105〜108% | ライフプランナーによる個別相談 |
| フコク生命 みらいのつばさ | 富国生命 | 約105〜108% | ステップ型で進学時に祝金 |
| 明治安田生命 つみたて学資 | 明治安田生命 | 約105〜108% | 保険料払込期間を自由設定 |
| JA共済 こども共済すてっぷ | JA共済 | 約102〜108% | 共済の仕組みで配当あり |
※2026年4月時点の公開情報を参考にした一般的な目安です。返戻率は契約者年齢・保険料払込期間・加入プランにより変動します。実際の数値は必ず各社公式シミュレーションでご確認ください。
返戻率の意味と目安
返戻率=受取総額 ÷ 払込保険料総額 × 100(%)
| 返戻率 | 年利換算(18年積立の目安) |
|---|---|
| 100% | 0%(元本のみ) |
| 105% | 約0.5% |
| 108% | 約0.8% |
| 110% | 約1.0% |
| 115% | 約1.5% |
2026年時点で返戻率115%以上の商品は限定的で、主要商品は概ね105〜110%の範囲です。年利換算では0.5〜1.0%程度の水準となります。投資信託でのインデックス運用のリターンは市場環境により変動し、学資保険との比較はリスク許容度と運用期間を踏まえた個別判断が必要です。
学資保険のメリット
1. 親の死亡時に保険料払込免除
契約者(親)が死亡・高度障害になった場合、以降の保険料が免除され、満期時には予定どおり学資金が支払われます。この保障機能が学資保険の最大のメリットと言えます。
2. 強制貯蓄の仕組み
毎月自動引落で意志に頼らず積立でき、「教育資金だけは別枠で確保」という家計管理が自然に実現されます。
3. 生命保険料控除で節税
年間8万円以上の保険料支払いで、所得税最大4万円・住民税最大2.8万円の控除が受けられます。年収500万円(税率20%)の方なら、年8,000円程度の節税効果です。
4. 受取タイミングが明確
18歳・22歳等の進学時期に合わせて受取時期を設定できるため、教育費支出のタイミングに合わせた計画が立てやすい設計です。
5. 運用元本確保型の設計
途中解約さえしなければ、契約時の予定利率で受取額が確定します。投資のように短期の値動きに一喜一憂する必要がありません。
学資保険のデメリット
1. 利回りが低い
返戻率105〜110%は、年利換算で0.5〜1.0%。インフレ率(直近2〜3%)を下回る可能性があり、実質的な購買力が減少するリスクがあります。
2. インフレに弱い
18年後の受取額が契約時に確定するため、インフレが進むと実質的な教育費カバー率が下がります。教育費自体は年2〜3%の上昇傾向にあるため、長期的な対応力に疑問があります。
3. 途中解約で元本割れリスク
10年未満で解約すると、払込保険料の70〜90%程度しか戻らない傾向があります。家計変動に対する柔軟性が低くなります。
4. 新NISA/iDeCoとの税制優遇の差
学資保険は生命保険料控除のみ(最大4万円)。新NISAは運用益全額非課税、iDeCoは掛金全額控除。税制優遇の規模で大きな差があります。
5. 保険会社破綻リスク
契約した保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構による保護はありますが、責任準備金の90%までが原則で、受取額が減る可能性があります。
学資保険 vs 新NISA 徹底比較
| 観点 | 学資保険 | 新NISA |
|---|---|---|
| 返戻率/期待リターン | 105〜110%(年0.5〜1%相当) | 市場環境により変動(元本割れリスクあり) |
| 元本リスク | 契約満期まで保有なら元本確保型 | 運用成績により元本割れリスクあり |
| 税制優遇 | 生命保険料控除(最大4万円) | 運用益・配当が非課税 |
| 流動性 | 途中解約で元本割れ | いつでも売却可能 |
| 保障機能 | 親の死亡時に保険料免除 | なし |
| インフレ耐性 | 弱い(定額) | 商品による(株式なら相対的に強い) |
| 自由度 | 契約プランに限定 | 商品選択が自由 |
| 2026年度改正 | 変更なし | こどもNISA予定(0〜17歳・年60万円) |
18年間積立のシミュレーション例
月2万円を18年間積立した場合の比較
- 払込元本:432万円
- 学資保険(返戻率108%):約466万円で確定(契約満期保有時)
- 新NISA:運用結果により大きく変動。過去の市場データに基づけば、元本を上回るケースと下回るケースの両方があり得ます
※将来の運用成果を保証するものではありません。新NISAは元本割れリスクがある点に注意が必要です。具体的な想定利回りによるシミュレーションは金融庁「つみたてシミュレーター」等でご自身の条件で試算することを推奨します。
2026年度税制改正|こどもNISA導入予定
2026年度税制改正大綱では、0〜17歳を対象とした「こどもNISA(つみたて枠)」の導入が盛り込まれています。
- 年間投資枠:60万円
- 生涯投資枠:600万円
- 12歳以降は保護者の同意で引出し可能
- 運用益非課税
これにより、教育資金の準備手段としての新NISAの選択肢がより広がることが見込まれています。学資保険との使い分け判断に大きな影響を与える改正です(具体的な施行時期・制度詳細は金融庁の正式発表をご確認ください)。
選択の判断軸|それぞれの特性を理解する
学資保険と新NISAは、それぞれ異なる特性を持つ選択肢です。どちらを選ぶか・併用するかは、家庭の保障状況・リスク許容度・運用スタンスに応じて個別判断する領域です。
| 観点 | 学資保険の特性 | 新NISAの特性 |
|---|---|---|
| 元本の扱い | 契約満期まで保有すれば元本確保型 | 市場環境により元本割れリスクあり |
| 保障機能 | 親の死亡時に保険料払込免除 | 保障機能なし |
| 家計管理 | 強制貯蓄型(自動引落) | 自分で積立設定・運用判断 |
| リターン特性 | 契約時に受取額が確定(返戻率の範囲内) | 市場環境により変動 |
| 流動性 | 途中解約で元本割れしやすい | いつでも売却可能 |
| 用途の柔軟性 | 教育資金に特化 | 教育以外の目的にも転用可能 |
これらの特性を踏まえ、既に別の生命保険で保障を確保しているか、強制貯蓄の仕組みが必要か、リスクを取れるか等の個別の条件に応じて、最適な組み合わせは変わります。
併用戦略|学資保険 × 新NISAのハイブリッド
どちらか一方ではなく、併用で両方の強みを活かす戦略も合理的です。
- 学資保険:月1万円(保障機能+最低限の元本確保)
- 新NISA:月2万円(長期リターン最大化)
- 現金貯蓄:月1万円(短中期の教育費対応)
この組み合わせにより、元本確保型の部分・運用リターン・流動性の3つをバランスよく確保できます。
学資保険の選び方|5つのチェックポイント
- 返戻率:可能なら108%以上を目安
- 受取時期:子どもの進学計画に合わせて(18歳一括 or 分割)
- 保障範囲:親の死亡時の保険料免除は必須機能
- 保険会社の格付:破綻リスクに備え、ソルベンシー・マージン比率200%超の会社を選ぶ
- 特約の要否:医療特約等を付けると返戻率が下がるため慎重に
教育費全体の積立戦略
教育費は大学卒業まで1人あたり1,000〜2,500万円が目安(国公立〜私立理系・医療系で大きく変動)。学資保険単独では大学4年間の費用を全額カバーするのは難しく、「学資保険+新NISA+児童手当活用+貯蓄」の複合戦略が現実的です。
具体的な教育費シミュレーションは教育費はいくらかかる?大学までのシミュレーションと5つの準備方法で整理しています。児童手当を投資に回す選択肢は児童手当を新NISAで投資活用もあわせて参照してください(該当記事がない場合はスキップ)。
筆者視点:学資保険は「保障目的」か「貯蓄目的」かで判断軸が変わる
筆者が家計・資産形成系プロダクトを観察してきた中で、学資保険の判断軸は「保障機能をどれだけ重視するか」に集約されます。返戻率105〜110%は貯蓄性としては限定的な水準ですが、「親の死亡時に教育資金が守られる」という保障機能は投資商品では代替できない価値です。
既に定期死亡保険で親の保障を別途確保している家庭と、保障が手薄な家庭では、教育資金準備の最適解は異なり得ます。一律に「どちらが正解」と断じず、各家庭の保障状況・リスク許容度・ライフプランを踏まえた判断が必要です。不安がある場合はファイナンシャルプランナー等の専門家への相談も選択肢です。
よくある質問(FAQ)
学資保険と新NISA、結局どちらが良いですか?
家庭の保障状況・リスク許容度により異なります。保障を兼ねたいなら学資保険、運用リターン重視なら新NISA、両方のバランスを取るなら併用が選択肢です。
返戻率110%の商品は本当に得ですか?
18年の積立で返戻率110%は年利換算で約1%。同じ期間新NISAでインデックス運用すれば期待リターンはより大きい可能性がありますが、元本割れリスクがあります。リスクを取れるかの判断が本質的な論点です。
2026年度の「こどもNISA」導入で学資保険は不要になりますか?
不要になるとまでは言えません。こどもNISAも運用リスクがあり、保障機能はありません。保障を兼ねる価値があるなら学資保険の役割は残ります。
学資保険は何歳から加入すべきですか?
子どもが生まれる前(妊娠中)から加入できる商品が多く、若いうちに加入する方が保険料が安くなり返戻率も高い傾向があります。
途中解約せずに続ける自信がないのですが?
家計変動の可能性がある場合、流動性のある新NISAの方が安全な選択肢です。学資保険の途中解約は元本割れしやすく、「途中でやめられない」前提で加入する商品です。
免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の保険商品・金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。保険加入・投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。記載の返戻率・試算例・制度内容は2026年4月時点の公開情報を参考にした一般的な目安で、各保険会社・運用会社の最新資料でご確認ください。過去のリターンは将来の運用成果を保証するものではなく、制度内容は将来変更される可能性があります。
主な出典(最終確認: 2026年4月): 金融庁 NISA特設ページ、 金融庁 令和8年度税制改正大綱、 国税庁 生命保険料控除、 文部科学省(教育費・学費関連統計)