Capital Insight 編集部
新興国株 投資信託の全体像|2026年の市場環境
新興国株式は、先進国株式と比べて成長性の高さと価格変動性の高さ(ボラティリティ)が両立する資産クラスです。MSCIエマージング・マーケット指数は約1,300銘柄、24カ国で構成されており、中国・台湾・インド・韓国が上位の比重を占めます。
本記事では、2026年時点での新興国株式投資信託の主要選択肢・選び方・注意点を整理します。インデックスファンド全体の考え方はインデックスファンドおすすめ10選【2026年版】、投資信託選びの全体像は投資信託 選び方 完全ガイド2026もあわせてご参照ください。
新興国株式の主要ファンド比較
| ファンド名 | 信託報酬(年率・税込) | 連動指数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 新興国株式インデックス | 0.1518% | MSCIエマージング・マーケット | 低コストの代表格・純資産総額が大きい |
| SBI・新興国株式インデックス・ファンド | 0.176% | FTSEエマージング | 韓国を含まない指数で、中国比率がやや高め |
| 楽天・新興国株式インデックス・ファンド | 0.212% | FTSEエマージング | 楽天証券ユーザーに適した選択肢の一つ |
| iFree 新興国株式インデックス | 0.374% | FTSEエマージング | 大和アセットマネジメント運用 |
| EXE-i 新興国株式ファンド | 0.1056% | FTSEエマージング | 信託報酬は業界最安水準 |
※2026年4月時点の公開情報を参考にした一般的な目安です。実際の信託報酬・純資産総額・運用方針は各運用会社の最新資料で確認してください。
MSCI指数とFTSE指数の違い
新興国株式ファンドが連動する指数には、主にMSCIエマージング・マーケットとFTSEエマージングの2系統があります。最大の違いは「韓国の扱い」で、MSCIは韓国を新興国に分類、FTSEは先進国に分類しています。
| 指数 | 韓国 | 構成国数 | 採用ファンド例 |
|---|---|---|---|
| MSCIエマージング・マーケット | 新興国扱い(約10%) | 約24カ国 | eMAXIS Slim 新興国株式 |
| FTSEエマージング | 先進国扱い(除外) | 約24カ国 | SBI・新興国株式、楽天・新興国株式 |
主要構成国と比重(MSCI指数基準)
- 中国:約30%(地政学リスクと規制リスクに注意)
- 台湾:約18%(TSMC等の半導体大手が牽引)
- インド:約18%(人口ボーナスと成長続く)
- 韓国:約11%(サムスン電子等)
- ブラジル・サウジアラビア・南アフリカ・メキシコ等:合計で約23%
新興国株式投資の特徴
メリット
- 長期的な経済成長ポテンシャル(人口ボーナス・中間層拡大)
- 先進国株との相関が相対的に低く、分散効果が期待できる
- 個別銘柄より手軽に分散投資可能
リスク
- 価格変動が大きい:先進国株より年間リターンの振れ幅が大きい傾向
- 通貨リスク:新興国通貨の下落が円建てリターンを減らす
- 政治・規制リスク:中国の規制変更等、政治動向の影響を受けやすい
- 流動性リスク:一部銘柄で売買が成立しにくい場面が発生する可能性
単独国特化ファンドの選択肢
新興国全体ではなく、特定国に絞って投資する選択肢もあります。代表的なのがインドとベトナムです。
インド株ファンド
インドは2023年に世界最多人口国となり、年率6〜7%の経済成長が続いています。IT・金融・消費関連の成長が顕著で、長期投資の選択肢として注目されています。代表的なファンドとしてiTrust インド株式、SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド、HSBC インドオープン等があります。
ベトナム株ファンド
ベトナムは人口約1億人、製造業の成長と年率6〜7%の経済成長が特徴です。MSCI基準では「フロンティア市場」扱いですが、2025年以降のエマージング昇格期待もあります。ベトナム単独ファンドは新興国全体ファンドより価格変動が大きい点に注意が必要です。
ポートフォリオでの組み込み方
一般的な投資本・運用会社の資料では、新興国株式は全ポートフォリオの10〜20%が目安とされることが多い配分です。ただしリスク許容度・投資期間・年齢により適正比率は変わります。
- 20〜30代(積極型):15〜25%
- 40代(中庸型):10〜15%
- 50代以降(保守型):5〜10%
※配分はあくまで目安で、個別のライフプランや他資産との組み合わせにより調整が必要です。ポートフォリオの組み方の詳細はポートフォリオの組み方|初心者向けに年代別の配分例・3ステップの作り方を参照してください。
オルカン・S&P500との関係
全世界株式(オール・カントリー)には既に新興国株式が約10%含まれています。つまりオルカンを保有している場合、新興国比率を追加で増やしたい場合にのみ新興国単独ファンドを追加するのが合理的な考え方の一つです。
オルカン vs S&P500の比較はS&P500とオルカンはどっちがいい?リターン・リスク・コストを徹底比較【2026年版】、全世界株と先進国株の違いは全世界株式と先進国株式の違い|どっちを選ぶべき?で解説しています。
新NISAでの活用
主要な新興国株式インデックスファンドはつみたて投資枠の対象で、月100円〜積立可能です。成長投資枠でも購入可能で、生涯投資枠1,800万円を活用した長期運用の選択肢になります。新NISA全体の制度・活用法は新NISA完全ガイド2026、つみたて枠のおすすめ銘柄は新NISAつみたて投資枠のおすすめ銘柄を参照してください。
筆者視点:新興国株は「長期・少量・継続」が基本
筆者が金融商品の動向を観察してきた中で、新興国株式は「短期で大きな利益を狙うより、長期で分散の一部として少量を組み込む」アプローチの方が、ボラティリティとの付き合い方として合理的と感じます。2022〜2023年の新興国株式の下落で投資をやめてしまう初心者が少なくありませんでしたが、長期で見れば一時的な調整局面であったとも捉えられます(将来のリターンを保証するものではありません)。
新興国比率を決めるときは、「含み損10〜20%が半年続いても続けられる金額か」を自分に問いかけるのが、リスク許容度の実践的な確認方法です。
よくある質問(FAQ)
新興国株式は初心者にも向いていますか?
価格変動が大きいため、完全な初心者には先進国株式やバランス型からの開始が推奨される傾向があります。慣れてきたら分散の一部として組み込むのが一般的です。
中国比率が高いことはリスクですか?
MSCIエマージングでは中国が約30%を占めるため、中国経済・規制の動向が全体に影響します。中国比率を下げたい場合は、韓国を除外するFTSE連動ファンドや、中国を除く新興国ファンド(イー・マーケッツ・エクス・チャイナ等)も選択肢です。
インド株単独ファンドと新興国全体ファンド、どちらが良いですか?
リスク分散を重視するなら新興国全体、インドの高成長に集中したいならインド単独という使い分けが基本です。両者を組み合わせて新興国全体の中でインド比率を上げる方法もあります。
新興国株の信託報酬はどのくらいまでなら許容範囲ですか?
インデックスファンドなら0.2%以下が一つの目安です。アクティブファンドは1.5〜2.0%台が多いため、コスト差をリターンが上回るかの判断が必要です。
為替ヘッジあり・なしはどちらを選ぶべきですか?
新興国株ファンドの多くは為替ヘッジなしですが、一部ヘッジ付き商品も存在します。長期保有前提であればヘッジなしの方がコストが低く、短期の為替変動リスクを許容するならヘッジありも選択肢です。詳細は為替ヘッジありとなしの違い|どっちを選ぶべきか判断基準とヘッジコストを参照してください。
免責事項・出典
本記事は情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。記載の信託報酬・構成比・運用実績は2026年4月時点の公開情報を参考にした一般的な目安で、実際の商品仕様は各運用会社の最新資料でご確認ください。過去のリターンは将来の運用成果を保証するものではなく、新興国市場は政治・経済・為替変動の影響を大きく受ける場合があります。
主な出典(最終確認: 2026年4月): 金融庁 NISA特設ページ、 金融庁 金融商品取引業者登録一覧、 国税庁 株式等を譲渡したときの課税、 財務省(国際金融関連)